海外安全対策情報(平成30年度第3四半期)
平成31年1月21日
1 武装勢力の侵入・誘拐事件等の発生状況
○2013年・ 2月中旬、サバ州東海岸沿岸のラハ・ダトゥ地区へ「スールー王国」を自称するフィリピンからと見られる数百人の武装勢力が侵入しました。これに対して、マレーシア治安当局(マレーシア軍及び警察)は攻撃を行い、これにより武装勢力の大半が死亡又は拘束され、6月に作戦終了が宣言されました。
・ 11月中旬、センポルナ地区近海のポンポン島において、同島に所在する施設に宿泊していた外国人旅行者2名が、フィリピンのアブサヤフと見られる武装集団に襲撃され、1名が射殺、1名が誘拐された後、約1か月後にフィリピンで身柄が保護される事件が発生しました。
○2014年
・ 4月2日、センポルナ地区沖合のシンガマタ島にあるリゾートホテルで外国人観光客等が,5月6日、ラハ・ダトゥ近郊のバイキ島で養魚場の中国人マネージャーが,6月16日、ラハ・ダトゥ近郊のクナで養魚場経営の中国人等がそれぞれ武装集団に誘拐される事件が発生しました。また、7月12日、センポルナ沖マブール島のリゾートホテルが武装集団に襲撃されました。
・ 7月19日、マレーシア政府は、サンダカン、キナバタンガン、ラハ・ダトゥ、センポルナ、タワウ各地域の沿岸から3海里の地点からフィリピン国境までの海域(シパダン島等の島嶼部周辺海域を含む)に対して、夜間外出禁止令を発出し、対象地域を渡航する船舶への取り締まりを強化しました。
・ 10月30日、コタキナバル市南方のペナンパン地区で、スールー王国軍協力者のリクルート及び資金獲得のための強盗事件を起こしていたフィリピン国籍者2人が、警察との銃撃戦で死亡する事件が発生しました。
○2015年
・ 5月14日、サンダカンの海上にあるシーフードレストランの共同オーナー及び顧客2名が、4人組の武装したグループに誘拐される事件が発生した。このうちオーナーについては、11月8日にフィリピン及びマレーシアの仲介者によって解放されましたが、顧客は18日、武装グループによって殺害されたことが確認されました。
○2016年
・ 5月7日及び9日、マレーシアの治安当局は、「スールー王国軍」の関係者と思われる22名を治安違反・特別対策法に基づき逮捕しました。警察幹部によれば、逮捕された者は、同軍勢力がマレーシアに侵入するための内通を行っていた模様です。
・ 4月1日、センポルナ沖合,7月9日及び18日ラハダトゥ沖合,9月11日及び27日センポルナ沖合,11月5日サンダカン沖合及び19日ラハダトゥ沖合,12月8日センポルナ沖合で漁船が武装集団に襲撃され、それぞれマレーシア人,フィリピン人,インドネシア人の乗員が誘拐される事件が発生しました。
○2018年
・ 9月11日センポルナ沖合のガヤ島で漁船が武装集団に襲撃され、インドネシア人の乗員2人が誘拐される事件が発生しました。
2 我が方政府が発出する危険情報
現時点では,マレーシア関係機関の警備強化により、サバ州東海岸一帯の大部分及び周辺海域での海賊事件,身代金目的の外国人誘拐等はしばらく沈静化していましたが,2018年9月11日に再び誘拐事件が発生しました。同地域沿岸部には引き続き夜間外出禁止令が発出されています。また,様々な武装勢力が活動を行っていることもあり,サバ州東側の島嶼部及びその周辺海域,サバ州東海岸のうち,サンダカン,ラハダトゥ,クナ及びセンポルナ周辺地域に危険情報「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」が発出されています。また,サバ州東海岸のうち,上記「レベル3」発出以外の地域(タワウを含む)には,危険情報「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が発出されています。なお、上記以外の地域(コタキナバルを含むその他の地域)については、危険情報は発出されていません。
3 治安情勢及び一般犯罪の傾向
(出典:マレーシア連邦警察クライムインデックス)(1)サラワク州における犯罪発生状況(2017年)
○ 犯罪発生件数
7,741件(2016年より10件(0.13%)増加)
○ 罪種別犯罪発生件数
【凶悪・粗暴犯】
殺人28件,強盗400件,傷害372件,強姦197件等
【財産犯】
窃盗4,180件等
(2)サバ州における犯罪発生状況(2017年)
○ 犯罪発生件数
6,243件(2016年より876件(16.3%)増加)
○ 罪種別犯罪発生件数(2016年)
【凶悪・粗暴犯】
殺人36件,強盗231件,傷害285件,強姦210件等
【財産犯】
侵入盗1,984件,ひったくり22件,自動車盗243件等